重要なお願い

個人的なお願いです。

英作文の答案において,「先回りして事前に入手する」という意味で「フライングゲット」(flying get(?)) と書くのはやめてください。この表現は特に男子の答案で多く見られますが,和製英語なので英語の答案では使えません。そもそも「フライングする」という表現自体も和製英語です。


















などという冗談記事をアップしていると怒られそうなので,体裁を繕うために補足。

補足1

「和製英語」で検索するといろいろ勉強になると思われます。たとえば安直なところでは
http://ja.wikipedia.org/wiki/和製英語
など。


補足2

「フライング」については広辞苑には次のように説明されています。

フライング【flying】
競走・競泳などの際、スタートの合図以前に飛び出すこと。許容の規定回数を越すと出場権を失う。

和製英語という説明は書いてありませんでしたが,ともあれ広辞苑の記述は日本語としての表現の説明なので,これはこれで正確です。


補足3

さて,では「(陸上のスタートで)フライングする」「(本やCDを)フライングゲットする」ということは英語ではどう表現すればよいのでしょうか。ちょっと考えてから辞書で調べてみましょう。


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CWOT

CWOT って知ってますか?

2008広島工業大学と2010東京工業大学附属科学技術高等学校の入試問題で,次のような表現が取り上げられています。

``My smmr hols wr CWOT. B4, we usd 2go2 NY 2C my bro, his GF & 3kds FTF.''

こう書くとなんとなく分かりますね。

これを「普通の」英文に直すと次のようになります。

``My summer holidays were a complete waste of time. Before, we used to go to New York to see my brother, his girlfriend, and their three kids face to face.''

ということで,CWOT とは a complete waste of time「完全なる時間の無駄」ということです。ちなみに WOMBAT と書くとこちらは waste of money, brains and time の意味。

日本語でも,電子メールなどで「た」を「ナニ」「+こ」などと分解して書くようなギャル文字なるものがあるそうですが,若者がオンライン上で独自の表現を生み出す(で,大人の中にはそれに眉をひそめる人もいる)というのは日本語でも英語でも同じだということですね。

ただ,CWOT は略さずに書く場合よりも明らかに入力の手間が省けているのに対して,ギャル文字の場合は明らかに余計に手間がかかっているのが謎ですが。


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subject

subject はよく整理して頭に入れておかなければならない多義語の代表例です。

やまほど意味がありますが,まずさしあたっては以下の意味を押さえましょう。

1.(名詞)主題,テーマ
2.(名詞)学科,科目
3.(名詞)主語
4.(名詞)(君主国の)国民,臣民;臣下
5.(名詞)被験者
6.(形容詞)be subject to ... で「…の支配下にある,…を受けやすい」

subject は sub「下」+ ject「投げる」という成り立ちです。ject という語幹が「投げる (throw)」という意味を持っていることについては,reject「拒絶する」(←相手に投げ返す),project「投影する」,inject「注射する;(意見など)を差し挟む」(←中に投げる)などから考えるとよいでしょう。

この成り立ちが分かれば,「下に置かれている」→「支配下・影響下にある」というつながりで,特に上記の 4. 〜 6. あたりの意味はだいぶ頭に入れやすくなります。

3. については,SVOC の S が subject の頭文字であることからおぼえればよいでしょう。

4. については,関連する語として,「(共和国の)国民,市民」は citizen であること,対義語は ruler「支配者」であることも確認しておきましょう。


最後にいくつか用例を書いておきます。

an alien subject「外国の国民」

a subject of an experiment「実験台」

Japan is a country subject to earthquakes.「日本は地震の多い(←地震を受けやすい)国だ。」

be subject to change「変わりやすい(←変化を受けやすい)」

be subject to colds「風邪を引きやすい」


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…するといけないから

「…するといけないから,…しないように」という表現の英訳では in case, for fear, lest, so that / in order that など様々な接続詞の候補があり,使い方に迷うところです。

一度に理解するのはなかなか難しいところですが,理解のためのヒントになりそうなことをいくつか書いておきます。


【lest】

lest は lest S (should) 原形... の形で用いて「…しないように」の意になりますが,古い文語的な表現なので,英作文で使う必要はないでしょう。他の表現を用いるべきです。


【場合に備えるのか,しないようにするのか】

次の2つの文の訳を考えてみてください。

1. 雨に濡れるといけないので傘をもっていきなさい。

2. 雨に濡れるといけないのでタオルをもっていきなさい。


訳例は次の通りです。

1.
Take an umbrella with you in order not to [so as not to] get wet in the rain.
Take an umbrella with you so that [in order that] you won't get wet in the rain.

2.
Take a towel with you in case you (should) get wet in the rain.


1. の場合は,in case を用いて書くのは不可です。濡れた場合に備えて傘をもっていくのはヘン。濡れてから傘をさしてもね……。

2. の場合は in order not は不可です。濡れないようにタオルをもっていくのではなく,濡れた場合に備えて持っていくのでしょう。


1. と 2. では傘かタオルかしか違わないのに,同じ「…するといけないので」という日本語を英語では別の表現で表すのがおもしろいところですね。

なお,この例文は「雨が降るといけないので」ではなく「雨に濡れるといけないので」にしているのがミソです。「雨が降るといけないので」だとどちらも in case で書くことになってしまいます。


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insomnia

更新が途切れてしまいました。

insomnia とは「不眠症」の意で,医学用語であるだけでなく,映画や音楽アルバムのタイトルにもなっています。それから,「ノート型の Mac のディスプレイを閉じてもスリープしないようにするアプリケーション」の名前も insomnia です。スリープしない→不眠症。よくできた名前です。

この語に含まれる -somn- という語幹は,ローマ神話の眠りを司る神ソムヌス Somnus に由来します。in- という接頭辞が反意語を作るので,insomnia は「眠らない→不眠症」。

ローマ神話の Somnus はギリシア神話のヒュプノス Hypnos に対応しています。この両者に由来する語を挙げておきましょう。


somnambulist「夢遊症患者 (sleepwalker)」

-ambul- の部分は ambulance「救急車」,amble「(馬が)側対歩で歩む,(人が)のんびり歩く」といった語と同根で,ラテン語の walk の意の語に由来します。

somniferous「眠気を催させる」

アヘン (opium) が得られるケシ(芥子)は学名を Papaver somniferum と言います。

somniloquous「寝言を言う」

somnolent「眠そうな」

hypnosis「催眠状態」

hypnotic「催眠術の;催眠薬」

hypnotize「催眠術をかける」

hypnoanalysis「催眠分析療法」

hypnopedia「睡眠学習法」


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仰々しい語

quadragenarian という語の意味は分かりますか?

quad- が「4」の意の接頭辞なので,「4」に関連する語だろうと見当がつけば,あとは文脈から類推できるはずです。この語は「40代の(人)」という意味であり,おおむね40歳から49歳までを指します。単に (people) in their forties などと言えばいいだけなんですけどね。

同様に,「50代」は quinquagenarian,「60代」は sexagenarian,「70代」は septuagenarian,「80代」は octogenarian,「90代」は nonagenarian です。また,100歳以上は centenarian で,これはcentury と関連させればよいでしょう。

ちなみに「百周年記念」は centenary で,「200」は bicentenary,「300」は tricentenary,以下 quatercentenary, quincentenary, sexcentenary, septingentenary, octocentenary, nongenary と続いて millenary「千年祭」に到達します。


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「副大統領,副社長」は vice president であり,この場合 vice は「副,次席,代理」といった意味を付け加える接頭辞です。vice chairperson「副議長」,vice principal「副校長」,vice governor「副知事」などなど。

では,ほかの「副」はどうでしょうか。

「副産物」は byproduct です。

It may be an incidental byproduct of the chitin's chemical nature.(それはキチン質の化学的性質からの偶然の副産物かもしれない。)(2006国際基督教大学)

類例としては,byway「側道,横道」,byform「(単語などの)副次形式,異形」,byjob「副業」,bypass「迂回路,バイパス」,bytalk「余談」などなど。

一方,薬などの「副作用」は side effect です。

The side effects of insecticides damaged the intensification and industrialization of agriculture.
(殺虫剤の副作用が農業の集約化・産業化を阻害した。)(2001慶應義塾大学環境情報学部)

また,以上のほかにも,「副」の意では sub-, second, secondary, assistant などさまざまな表現があります。主ではなく副ですが,それでも決して甘く見ることはできません。


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1語の違いで大違い

「文中の1語が違うだけでまるっきり別の意味になってしまう」というのは当たり前といえば当たり前で,日本語でも英語でも無数に例があると思います。比較的おもしろいと思ったものを紹介。


Is he like his father?
→ like は前置詞で,「彼はお父さんに似ている?」という意味。

Does he like his father?
→ like は他動詞で,「彼はお父さんが好き?」という意味。

類例としては,There is nobody like my father. と There is nobody who likes my father. なども。


It's nobody's fault.
→「それは誰のせいでもない」ということから,「君のせいでもないから気にするな」と相手をなぐさめている台詞になります。

It's nobody else's fault.
→「それはほかの誰のせいでもない」ということから,「ほかならぬ君のせいだ」と相手を責める台詞になります。


anything but と nothing but など,否定や比較表現ではこういったパターンがいろいろありそうです。


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dismal と dismay

dismal は形容詞で「陰鬱な,みじめな,惨憺たる」といった意味。強勢は語頭です。

一方 dismay は名詞で「狼狽」,動詞で「狼狽させる,うろたえさせる」といった意味であり,強勢は語末です。

別の語ですが,なんとなく綴りや意味も似ていて紛らわしいですね。区別する考え方を見ておきましょう。


dismal は,dis は days の意,mal は「悪い」の意です。mal- が「悪い」といった意味になることについては,2008.2.16「mal」の記事で触れました。結果,dismal は「悪い日 (unlucky days)」→「陰鬱な,みじめな,惨憺たる」といった成り立ちになっています。

dismay に含まれる may は,もともとは「力,能力がある」といった意味です。助動詞の may には「…してよい,…できる」といった意味があり,名詞の might には「力」の意味があります。mighty は「力強い」,almighty は「全能の」の意ですね。dismay の dis は反意語を作る接頭辞なので,dismay は「力がないようにさせる」→「狼狽(させる)」といった成り立ちです。


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キャベツとレタス

前に2011.4.27「野菜」の記事で野菜の話が出ていたので,これに関連して。

キャベツは cabbage で,これは cap, cape, capital, ... と同源で,「頭」という意味でした。確かにキャベツは頭くらいの大きさです。

一方,レタス lettuce の語源はラテン語の milk にあたる語です。レタスの茎葉を傷つけると白い乳液が出るため,これにちなんで名前が付けられています。

レタスは和名では「ちしゃ(チシャ)」といいますが,これも「乳草(ちちくさ)」が略されて「ちしゃ」になったと考えられているので,語源が英語と共通しています。ちなみに「萵苣」と書いて「チシャ」と読むのですが,これはなかなか難しい。

lettuce に関連して,「カフェラテ」の latte も milk の意。「ラクトース,乳糖」lactose,「ラクターゼ」lactase なども同源です。


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